なぜ空は黒いのか
月には大気がほとんどありません(表面気圧は地球の1兆分の1以下)。青空をつくるのは大気中の分子による光の散乱(レイリー散乱)ですが、散乱する分子が無ければ光は目に届く方向にしか見えず、太陽の周りの空間は昼でも真っ黒に沈みます。アポロの飛行士が真昼に月面を歩いていても、頭上は漆黒の空だったのはこのためです。
NASA NSSDC: Moon Fact Sheet
表示時刻: 1969-07-21 02:56 UTC(アポロ11 EVA)
β: これは公開ベータです。地形はアポロ11号着陸地点(静かの海基地)の実測データ — LROC NACの2 m解像度DTMから切り出した、着陸船を中心とする約2 km四方 — で、まず低解像度版を即座に読み込み、続けてフル解像度へ差し替えます。観測由来の段差ノイズは曲率選択の平滑化で抑えてあります(クレーター形状は保存)。データを取得できなかった場合のみ、合成地形(その旨この画面に表示)に切り替わります。
現在の地形: 合成地形(実測データを取得できませんでした)
一方、動きは実測にもとづきます。重力は1.62 m/s²、移動とジャンプは上のモード切り替えが示す2系統の値。大気がないので投げたものは厳密な放物線を描き、空は黒く、影は輪郭が硬いままです。物理エンジンは使っていません — 高さ場の上を歩くだけなら、解析的に正しい積分のほうが軽く、かつ主張として正直だからです。
画面右上のFPSは1秒間の移動平均です。この数値を実機で測ることが、このプロトタイプの目的そのものです。既定の表示時刻はアポロ11号EVAの瞬間(1969-07-21 02:56 UTC)に固定しています — パネル上部のトグルで「現在」に切り替えると、実時刻の照明(月の夜を含む)になります。
定数の出典: NASA NSSDC / JPL Horizons(重力) · NASA TN D-3363(1/6 g歩行実験) · PLOS ONE「The Apollo Number」(歩→走遷移) · アポロ16号の動画解析(跳躍高、二次資料)。地形・画像: NASA/GSFC/Arizona State University(LROC NAC DTM、パブリックドメイン)。
月には大気がほとんどありません(表面気圧は地球の1兆分の1以下)。青空をつくるのは大気中の分子による光の散乱(レイリー散乱)ですが、散乱する分子が無ければ光は目に届く方向にしか見えず、太陽の周りの空間は昼でも真っ黒に沈みます。アポロの飛行士が真昼に月面を歩いていても、頭上は漆黒の空だったのはこのためです。
NASA NSSDC: Moon Fact Sheet
空気による散乱光が無いので、太陽が直接当たらない場所には回り込む光がほとんど届かず、影の境界はナイフのように硬く切り立ちます。唯一の埋め合わせは地球照 —— 地球が反射した太陽光が月面を照らす淡い環境光で、満月の月明かりの20〜30倍の明るさがあります。このプロトタイプの環境光は、この地球照だけを根拠にしています。
arXiv:1904.00236
月の重力は地球の6分の1(1.62 m/s²)しかないので、地球と同じ脚力で跳べば理論上は2.71m跳べる計算になります。ところが実際にアポロ16号のジョン・ヤングが跳んだ高さは、映像解析でおよそ0.42m(滞空1.45秒)しかありませんでした。差を生んだのは重力ではなく、宇宙服(EMU)の可動域の狭さと、転んだら自力で起き上がりにくいという安全上の制約です。
Apollo 16 video analysis (Rhett Allain); NASA TN D-3363
地球上でものを投げると空気抵抗が軌道を歪めますが、月には大気がまったく無いので、投げたものには重力(1.62 m/s²)だけが働きます。初速をv₀ とすると速度は厳密にv = v₀ − gtで減っていく教科書どおりの放物線になり、空気抵抗の補正項は要りません。このプロトタイプが物理エンジンを使わず自作の運動学だけで放物線を描いているのは、まさにこの「厳密に解ける」という理由からです。
NASA NSSDC / JPL Horizons (lunar gravity)
月には風も水も大気もないため、地球のように足跡が風化したり洗い流されたりすることがありません。唯一の「消しゴム」は、微小隕石が絶えず降り注いでレゴリス(月の砂)をかき混ぜる「ガーデニング」効果で、その速度は非常にゆっくりです。アポロ11号の着陸地点に残る足跡は、桁でいえばおよそ1000万年というスケールで残り続けると見積もられています。
NASA: Apollo lunar site preservation (micrometeorite gardening rate)