月面ウォーク

β — これは公開ベータです。月面ウォークは、アポロ11号が降りた静かの海の実測地形を、1/6の重力で歩いてみる技術プロトタイプです。重力も、歩く速さも、跳べる高さも、実測または理論の値をそのまま使っています。

ここでできるのは、歩くこと、跳ぶこと、物を投げること、そして羽とハンマーを同時に落とすことです。この章では、その操作と、画面に出ている数字の意味を説明します。

※ 画面写真は開発中のバージョンのものです。実際の表示と細部が異なる場合があります。

立っている場所

足元にあるのは、アポロ11号の着陸地点を中心とするおよそ2 km四方の地形です。月周回衛星LROの狭角カメラが2 mの分解能で測った標高データから起こしたもので、この起伏は作られたものではありません。読み込みは低解像度から始まり、通信が落ち着くと実測の解像度に切り替わります。

重力は1.62 m/s²。物理エンジンは使わず、歩行も投げた物の放物線も解析的な運動学で計算しています。大気がないので、投げた石は完全な放物線を描いて落ちます——空気抵抗の項が存在しないからです。

画面右上のFPSは、1秒間の移動平均です。この数値をいろいろな実機で測ることが、このプロトタイプの目的そのものです。

歩く、跳ぶ、投げる

まずWを押してください。あるいはAとSとD、矢印キーでも構いません。それだけで歩き出します。クリックは必要ありません——画面中央の案内はカメラの操作について書かれているので、先にクリックしなければ動けないように読めますが、そうではありません。

Spaceで跳べます。ただし、直前にパネルのボタンを押していると、そのボタンにフォーカスが残っていてSpaceが吸われます。跳ばないと思ったら、いちど地面のあたりをクリックしてから押してください。

カメラを回すには画面をクリックします。マウスの動きがそのまま視線になり、Escで抜けられます。カメラを回している状態でもう一度クリックすると、物を投げます。投げるのはこの状態のときだけで、Escで抜けているあいだは投げられません。

スマートフォンでは、画面の左半分を押したまま動かすとバーチャルスティックとして歩き、右半分をドラッグするとカメラが回ります。ジャンプと投げるのボタンは右下、羽とハンマーは左下です。

スマートフォンでの月面ウォーク。左半分にバーチャルスティック、右下にジャンプと投げるのボタン、左下に羽とハンマーのボタンがある。
1スマートフォン表示

スマートフォンでの画面。左半分がバーチャルスティック、右下がジャンプと投げる。

羽とハンマーを落とす

Hを押すか、左下の羽とハンマーを押してください。両手が上がり、片手にハンマー、片手に羽を持って、同じ高さから同時に離します。

2つは同時に落ちます。約1.6 mの高さから、約1.4秒。大気がなければ、質量が40倍違っても落下は同じです。空気抵抗がすべての原因だったということが、目の前で起こります。着地すると、これがアポロ15号で1971年8月2日にDavid Scott船長が実際にやった実験であることが画面上部に表示されます——ただし8秒ほどで消えるので、読み逃したらもう一度落としてください。

落下している最中にもう一度押しても始まりません。落ち終わるまで待つ必要があります。

羽とハンマーが同時に月面へ着いた瞬間。画面上部にアポロ15号のクレジットが出ている。
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羽とハンマーが同時に着いた瞬間。約1.6 mを約1.4秒——大気がなければ質量は関係ない。

1969年の光と、いまの光

既定の表示する時刻はアポロ11 EVA(1969年)です。1969年7月21日02時56分15秒(世界時)——アームストロングが降り立った瞬間で、太陽の角度も、空に浮かぶ地球の姿も、そのときの実際の値です。影が長く伸びているのは、そのとき太陽がまだ低かったからです。

現在に切り替えると、いまこの瞬間の照明になります。月の1日は地球の約29日なので、切り替えた先が昼とはかぎりません。夜側に当たっていた場合は、地球照だけで照らされている旨と、そのときの太陽高度が画面に出ます。真っ暗になったのは不具合ではなく、いま静かの海が夜だということです。

空はどちらの時刻でも黒いままです。大気がなく、光を散乱させるものが何もないためで、これは昼でも変わりません。

実測地形の上に立つウォーカー。太陽が低く、影が長く伸び、空は黒い。
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1969年7月21日の光。太陽が低いので、影が長く伸びる。空は昼でも黒い。

宇宙服を脱いでみる

画面左下の動き方には、宇宙服と身軽の2つがあります。既定は宇宙服で、ジャンプは0.42 m、歩く速さは3.0 m/sです。アポロ16号のジョン・ヤングの跳躍を映像から解析した値と、NASAの1/6重力歩行実験にもとづいています。

身軽に切り替えてから、同じようにSpaceを押してみてください。2.72 m跳びます。同じ脚力を1/6重力に置いただけの理論値です。

この差が、このページのいちばん言いたいことです。飛行士が高く跳べなかった理由は重力ではありません。硬い与圧服の可動域と、月面で転ぶことの危険——脱げば6倍以上跳べたのに、そうしなかったのは、そういう理由でした。

リンクで場面を指定する

このページに共有ボタンはありません。歩いてもカメラを回してもアドレスバーは変わらないので、気に入った眺めをURLでそのまま渡すことはできません。

ただしリンクの側から場面を用意することはできます。?t=(表示したい時刻のエポックミリ秒)・?az=(見ている方位、0から360)・?alt=(見上げる角度、−85から85)・?mode=suitまたは?mode=freeを付けると、その状態で始まります。特定の日時の太陽高度で歩き出してほしいときや、記事から場面を指定したいときに使えます。なお?t=を付けたリンクを開くと、表示する時刻はEVAでも現在でもない第3の状態になり、どちらかを押すまでその時刻のままです。